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語末の子音字の無音化
フランス語では、語末の子音字が無音化するという現象が起こります。
例えば、「満足した」という形容詞の男性単数形は「content」であるのですが、これは〔コンタン〕と、tを無視して発音します。ところが、同じ単語でも女性単数形の「contente」になると(形容詞の変化については後述します)、tは語末ではないため発音されます。したがって、〔コンタント〕と読みます。
逆に言えば、フランス語で語末に無音のeをつける意味は、直前の子音字を発音するという記号としての意味があるといえます。後述するように、フランス語においては、nが無音となって、直前の文字を鼻母音化する記号としてのはたらきしかしていない場合が多々あります。
ところで、なぜ語末の子音字が無音化するのかという点ですが、最初に
「子音+単母音」+「子音+単母音」+「子音+単母音」+・・・・というのが、フランス語のリズムである
ということをご説明しました。そうすると、終わり方も
・・・+「子音+単母音」+「子音+単母音」+「子音+単母音」.
となるのがフランス語のリズムであることになります。しかし、最後に子音字がついていると「子音+短母音+子音」という終わり方になってしまい、フランス語のリズムに合いません。このため、語末の子音字を無音化することによって、フランス語のリズムに合わせたのだ、というふうに考えると分かりやすいでしょう。
さて、この語末の子音字の無音化ですが、いっそのこと一律に無音になってくれれば有難いのですが、フランス語というのはややこしい言語であり、無音になる場合と無音にならない場合があります。そこで、その区別の法則が必要になってくるわけですが、この法則というのもたいへん例外の多いものであり、余り頼り甲斐がありません。しかし、ないよりマシですので、一応提示しておきます。
- まず、さきほどの説明から、単母音で終わる終わり方であればよいのですから、流音のような母音に近い子音であれば、許容される可能性があります。実際にそうなっていて、流音字(l・r)で終わる場合にはこの流音を発音することとなっています。
- 次に、合理的な説明は不可能ですが、cとfについても発音することになっています。
- それ以外の子音字については、発音しないこととされます。
しかし、この法則には無数の例外があり、結局のところ、ネイティヴに発音を確かめるなり、辞書で発音を確認するなりして、正確な発音を覚える必要があります。
一つだけ大きな例外を挙げておくと、「-er」という語尾をもつ動詞であり、この場合のrは発音しないことになっています。しかし、「-ir」という語尾をもつ動詞については、法則通りrを発音をするというのですから、フランス語のことばのルールがいかに非合理的かということがよく分かると思います。
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